最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)612 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告理由第一点について。
本件は小切手に基く請求であるから、元来、小切手振出の原因関係の存否につい
ては、債務者たる上告人に主張立証の責任があるこというまでもない。而して上告
人は原審において「本件小切手(甲第一号証)は、甲第二号証の手形の支払に代え
て振出されたものであるところ、右甲第二号証の手形は振出日の記載を欠き無効で
あるから、上告人には本件小切手金支払の義務がない」旨抗弁し、これに対し、被
上告人は、結局、右抗弁を否認すると共に所論の如く主張し、原審も、本件小切手
の振出については原判示の如き原因関係があると認め、上告人の右抗弁を排斥した
ものである。したがつて原判決に所論の違法があるといえないことは明白であり、
引用の判例は本件に適切でない。所論は理由なきものである。
同第二点について。
原審の認定によれば、上告人は、原審判示にかかる甲第三号証の手形についても、
一〇万円の限度で個人として支払責任を負つたものであり、かつ本件小切手は右甲
第三号証の手形債務の支払確保の趣旨をも含めて振出されたものであることが明白
である。されば所論甲第二号証の手形が無効であつても、未だ本件小切手に原因債
権がないといい得ないことは当然である。引用の判例は本件に適切でなく、所論は
採ることを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
- 1 -
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
- 2 -